
❶ 金型加工
シェルの金型はアライヘルメット創業以来、自社で製造しています。外部に発注せず、自社で行うことによって従来であれば1週間かかる作業を24時間で終えることが出来、次の工程に移ることが出来ます。自社製造により生産コストや開発時間が抑えられることによりトライ&エラーも容易に繰り返すことが出来ます。
きめ細かく迅速な開発や改良が可能になり、デザインの自由度も高くなるのです。
value
of arai
アライヘルメットとは
アライは創業当時から現在に至るまでオーナーがライダーです。規格のない1950年初頭から純粋にライダーの頭を護るためにヘルメットを作り始め、頭を護る性能ではどこにも負けない世界に認められるブランドを目指しました。
オーナー自らが先頭に立ち、材料、製法、製造設備を見直し、強靭でありながら軽いcLc構造の帽体開発に成功しました。
現在の品質管理の基礎となる全数帽体二重検査もアライの検査員自らが帽体の責任を負うという責任感と誇りを持って行っています。プロテクション向上のため、社員一同オーナーの信念に賛同し、外から見えない部分や小さな違いを見つけて独自の工夫を凝らす。それがアライの違い、バリュー・オブ・アライです。
かわす性能とは
『かわす性能』とはヘルメットを滑らせることにより、衝撃エネルギーを頭に向かわせないことです。
衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収性能は、シェルの表面から頭までの限られた面積で外部からの衝撃を処理するため、エネルギー=力×距離の公式により限界があり、どれだけ技術が進歩しても衝撃吸収性能では守り切ることが出来ません。また、衝撃吸収性能を司るスチロールの厚みにも限界があります。
そこでアライヘルメットは『かわす性能』に目を付けました。1ヶ所にかかった衝撃を分散することに適した形状は球体です。凹凸や角張った部分があるヘルメットは転倒した際に引っかかるリスクがあり、その瞬間更に大きな衝撃を受け、頭への衝撃だけでなく、首を捻ることによる損傷も発生します。そういった被害を抑えるためにアライヘルメットは引っかかりがなく、段差も滑りやすい丸く、滑らかな『かわす性能』を重点に置いたヘルメットを作り続けています。衝撃を弱めつつ、より広い面で初撃を吸収していくことがアライヘルメットの出した『かわす性能』という結論です。
1最初の接触点で衝撃を吸収
2ヘルメットが滑ることでB点でも衝撃を吸収
3さらに滑るとA〜C点まで衝撃吸収面積が広がる
なぜ衝撃吸収性能だけでなく
『かわす性能』に重きを置いているのか
ヘルメットの耐久性や衝撃吸収性能は数値化されますが、『かわす性能』は数値に表すことが出来ません。定義が出来ないため安全基準には明記されておらず、性能差を確認することが出来ません。ですが、安全基準に明記されていないからこそ、アライヘルメットは『かわす性能』の重要性に目を付けました。
実際の転倒例や検証を積み重ねた結果、転倒したライダーはヘルメットを滑らせることが多かったため、かわす性能が頭を護ることにおいて重要な要素であることに気付きました。以来、アライヘルメットは工夫や小さい改善を数十年に渡り積み重ね、かわす性能を向上させてきました。一つの改善で劇的に『かわす性能』が向上するという答えはありません。
衝撃吸収性能に加え、『かわす性能』の真価を追い求め続けることがアライヘルメットの信念です。
Arai standards
衝撃吸収性において
世界最高水準の
安全基準 “SNELL規格”
レースシーンにおいても採用されている世界最高水準の安全規格です。ヘルメットに高品質の安全基準を提供するために設立された非営利団体「スネル記念財団」によって設けられました。 アライのオートバイ用ヘルメットの主要ラインナップは、衝撃吸収性において世界で最も厳しいといわれる安全基準「SNELL規格」をクリアしています。
レースシーンにおいても採用されている世界最高水準の安全規格です。ヘルメットに高品質の安全基準を提供するために設立された非営利団体「スネル記念財団」によって設けられました。 アライのオートバイ用ヘルメットの主要ラインナップは、衝撃吸収性において世界で最も厳しいといわれる安全基準「SNELL規格」をクリアしています。
SNELL規格の衝撃・耐貫通の厳しい試験
SNELL規格は衝撃吸収性能試験と耐貫通試験の2種類で試験をします。平らな面を想定する平面形アンビル、凸凹な面を想定する半球形アンビルで行い、それに加えガードレールに見立てたエッジアンビルによる試験も行います。
衝撃吸収性能試験ではJIS規格より耐衝撃40パーセント以上高い衝撃を加えながら、加速度計計測値においても300Gより厳しい275Gをクリアしなければなりません。耐貫通試験は3㎏のストライカをJIS安全規格の1.5倍の高さである3mから落下させ、ストライカの先端が人頭模型に達することを防いでるか試験します。
アライヘルメットの主要モデルはこの厳しい検査をクリアし、SNELL規格を取得しています。ですが、このSNELL規格すらアライが理想とするヘルメットを作るための通過点でしかないのです。
SNELL規格は衝撃吸収性能試験と耐貫通試験の2種類で試験をします。平らな面を想定する平面形アンビル、凸凹な面を想定する半球形アンビルで行い、それに加えガードレールに見立てたエッジアンビルによる試験も行います。
衝撃吸収性能試験ではJIS規格より耐衝撃40パーセント以上高い衝撃を加えながら、加速度計計測値においても300Gより厳しい275Gをクリアしなければなりません。耐貫通試験は3㎏のストライカをJIS安全規格の1.5倍の高さである3mから落下させ、ストライカの先端が人頭模型に達することを防いでるか試験します。
アライヘルメットの主要モデルはこの厳しい検査をクリアし、SNELL規格を取得しています。ですが、このSNELL規格すらアライが理想とするヘルメットを作るための通過点でしかないのです。
衝撃をかわす、滑らかなフォルム “R75 SHAPE”
アライのヘルメットの帽体は、丸く滑らかで強靭な『かわす性能』を持っていることが必須です。R75とは曲率半径75mm以上の連続する凸曲面で構成されているヘルメット帽体の規定です。ヨーロッパより定められ、後に日本にも導入された、いわゆるJIS規格の一つです。R75という規定は諸般の事情でなくなりましたが、アライは重要なことと捉え、現在でも強靭なシェルに加え、凹凸のないなめらかな表面による『かわす性能』に特化したR75 SHAPEを採用しています。また、ヘルメットに装着されているエアロパーツも転倒の際の衝撃で外れることにより、より広く滑らかな面で衝撃を受け、『かわす性能』を落とすことなく発揮出来ることを可能にしています。
進化し続ける多段階発泡一体成型ライナ
アライのヘルメットは、衝撃吸収性能と「かわす性能」を両立させることを重視した設計が特徴です。衝撃吸収性試験では、角度によって衝撃を受ける面積が異なるため、受ける面積が狭い場合にはライナーを厚くする必要がありますが、これでは「かわす性能」が損なわれてしまいます。そこでアライは、独自に開発した多段階発泡一体成型ライナー(MDL技術)を採用しています。この技術では、頭頂部、側頭部、後頭部、前頭部に異なる硬度の発泡体を使用し、衝撃の加わる場所に最適な緩衝効果を発揮します。これにより、安全性を保ちながらも理想的なフォルムを維持し、「かわす性能」を実現しています。アライは各モデル・サイズごとにシェルの構造とライナーの調整を繰り返し行い、コンパクトでありながら優れたモデルを作り続けています。
製造工程
process
シェルの金型はアライヘルメット創業以来、自社で製造しています。外部に発注せず、自社で行うことによって従来であれば1週間かかる作業を24時間で終えることが出来、次の工程に移ることが出来ます。自社製造により生産コストや開発時間が抑えられることによりトライ&エラーも容易に繰り返すことが出来ます。
きめ細かく迅速な開発や改良が可能になり、デザインの自由度も高くなるのです。
アライのヘルメットのシェルは、開口部のレーザーカットを除き、すべて手作業で製作されています。スーパーファイバーを使用したシェルは、軽量かつ堅牢で、通常のガラス繊維の6倍のコストをかけ、強度と弾性率を30%向上させています。高融点で製造され、不純物も抑えられています。開口部には縦方向のクラックを防ぐスーパーファイバーベルトを使用し、頭頂部には有機繊維素材で低重心化を実現。PB-SNC2およびPB-CLC2のネット構造で強度を高め、アライは軽量化と強度の両立に妥協しません。
成形されたシェルは成形した本人により重量を測定されます。その後、レーザーカットをし、成形部署内で全数厚みチェックが行われます。成形部門で検査されたシェルは検査部門へ送られ、外観、重量、厚みの検査を再度行います。これがアライがレースサポートを開始した当初から行われている全数帽体二重検査です。
過酷な状況下で使用されるレーサー用ヘルメットと一般のお客様がご利用されるヘルメットに差があってはならないという思いがあり、開始されました。
上述の通り、アライのヘルメットは一部工程を除き手作業で行われています。塗装と転写も出来るだけ帽体に重量を載せないことを第一目標に掲げています。FRP(繊維強化プラスチック)特有の穴は厚塗りで塗装すれば簡単に埋められますが、アライでは軽量化を実現するためペースト状の目止め剤を刷り込み、薄吹きのサフェーサーで塗装します。その後、水研ぎを行い、埋まりきらなかった穴やけの検査をしながらパテ付けをしていきます。ここまでの工程を2回行い、重量を測定。少しでもオーバーした帽体に関しては修正作業が行われます。
一色ずつ塗装していくマスキングデザインと、マークを貼り付ける転写デザインの2つの方法があります。これらの作業はもちろん完全手作業。製品ごとに設定されているベース塗装を行い、ピンホールなどをチェック。
その後、重量を計量し、FRP製のデザイン型をもとにガイドラインを引きます。マスキングテープも転写シートも完全手作業で貼り、ベース塗装から完成まで8、9日を要します。
ダクトやシールド、緩衝ライナーから首元のゴム製やビニール製の縁に巻きつけるなど、帽体に部品を取り付ける作業です。部品を正しい位置に取り付けることは、風切り音や風の巻き込みを抑える上で外せません。こちらも穴あけから組み立てまで完全に手作業ですが、失敗すると廃棄処分になるため細心の注意を払います。 失敗を防ぐために数多くのアイデア豊かなガイド類が各工程で用意されているほか、ミスを避けるための手順を取り決めるなど工夫もされています。
全ての工程を終えたら最終検査に移ります。
シールドが適正に動くか、ダクトがバランスよく付いているか、規定の内装がついているかなどをチェック。検査しながら、エアで細かいゴミを除去しながら帽体を磨きます。全ての検査を終えたあと、SNELL規格品の証であるスネルラベルを貼り、全工程終了。このような工程を経て消費者の手に渡るのです。